農★blog - 2008/09/05のエントリ
みなさん、こんにちは。9月に入り、季節は夏に終わりをつげようとしています。この夏は、どんな「夏の味」を楽しみましたか? カキ氷やスイカなど、夏ならではの味覚を楽しんだ方も多いでしょうね。
私は、やっぱりメロンが好き。数年前、農村地帯に住んでいたころは、農家の友人から山のようにメロンをいただいていました。だから、その当時は毎日メロンが食卓を美しく彩っていました。本当に感謝です!!
写真は札幌市HPより引用
http://www.city.sapporo.jp/keizai/nogyo/gaiyou/meron.html
本文と写真は、関係ありません。
北海道は「夕張メロン」や「三笠メロン」など、意外なほど多品種メロンの名産地なのですよ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AD%E3%83%B3
メロンやさまざまな果物は、北海道特有の「夏は、昼間が暑くても、夜になると肌寒い」という1日の寒暖の差があるため、甘みを増すのです。
さらに、高度成長期時代へ突入すると、米余りによる減反政策などの影響から、転作を余儀なくされる農家が多く出ます。そして、多くのみなさんが稲作以外のさまざまな品目に転向したのです。メロンも、そんな転作作物のひとつだったのです。
試行錯誤の末、北海道のおいしいメロンは、日本中のみなさんに知られるようになります。多くの方々に「おいしい」と喜んでもらえ、さらに付加価値の高いメロンは、農家にとっても“救世主”だったのです。
メロン農家をしている私の友人は現在、大農場を経営しています。遠くから観光客が美しい畑とおいしいメロンを目当てに大勢来るほど。家には、ガラスケースの中にたくさんのトロフィーが飾られていました。「なんのトロフィーだろう?」とのぞき込むと、そこには「杜氏 金賞」という文字とともに、友人のお父さんの名前が書かれてあったのです。
杜氏(とうじ)と言えば、日本酒を造る職人さんのこと。農家に生まれ育った友人のお父さんとは、まったく関係がないように思えます。
「おかしいな?どうして杜氏として表彰されたのだろう?」と思ったので、友人のお父さんに「このトロフィーは、どうしたのですか?」と聞いてみました。
そうすると、友人のお父さんは、こんなことを話してくれました。
「昔は農業だけで生活ができなかったから、冬場は都会へ出稼ぎに行っていたんだ。僕の冬の仕事は、杜氏。日本酒の酒蔵で、お酒を作っていたんだよ。そのときに、コンテストでもらったトロフィーなんだ。
出稼ぎは、本当に大変だった。北海道は半年間も大地が雪で埋もれるから、出稼ぎ期間も半年間になる。その間、家族に会えないのは、本当につらかった。『子供たちは、どうしているかな?』って思うしね。
でも、メロンを作るようになってから、収入も上がって、出稼ぎに行く必要がなくなった。このメロンのおかげで、やっと1年を通して家族の顔を見られるようになったんだよ」。
甘いメロンには、そんな苦い涙の味があったのですね。友人のお父さんの話しを聞いてから、友人の畑から採れるメロンの味が、それまでとまったく違う味に感じられるようになりました。やっぱりメロンが大好き。