「でんすけすいか」という真っ黒いスイカを知っていますか?北海道北部にある当麻町の高級ブランドスイカです。 2008年の6月6日に旭川市の青果場で行なわれた初せりでは、1玉65万円ものご祝儀価格がついたほど!! 東京の有名高級デパート「銀座千疋屋」からは、「今年もでんすけすいかを店頭に並べますよ。1玉1万5,000円ほどを予定しています。毎年、ニーズが上がっていますね」という声が上がるほど熱い視線を浴びる「夏の目玉商品」なのです。
でんすけすいか誕生には、地元農家の苦労がありました。昭和50年代に国の減反政策が大きく進むと、水稲栽培が主力だった当麻の生産者たちは「農業をしたくても、できない」苦しみと直面することになります。 そこで、昭和59年に農協青年部が一村一品運動として、この真っ黒いスイカ作りを開始。稲に代わって「田を助ける」という意味から、「でんすけすいか」と命名したのです。 青年部のメンバーたちは、「全国に名前をとどろかせる名産品を作ろう」と、選荷でも厳しい基準を設けることにしました。重さ4キロ以上、糖度11度以上で、外観が良く、光センサーでチェックしたものだけを市場に流すことにしたのです。それ以外は廃棄処分、つまり捨てられるのです。 「これはすべてお客様の信頼を裏切らないため。なかには、2トントラックいっぱいのでんすけを廃棄のために持って帰る農家もあるほどです。売り上げよりも、プライドを守っています」と、関係者たちはその厳しさを真剣に語っています。 厳しい品質管理の背景には、昭和59年から今までに培ってきた高度な育成技術が存在します。それは、他市町村の農業団体が「育て方を教えてもらって真似をしても、絶対にそのとおりできない。育て方が、あまりに難しすぎる」と、舌を巻くほどです。
今では、当麻町全体で20ヘクタールを作付け。東京ドーム約5つ分もの広大な「でんすけすいか畑」が広がっています。そこから、年間700トンものでんすけすいかを生産。2億2千万円を売り上げるほどに成長したのです。 また、日本農業賞大賞など、さまざまな栄誉ある賞を受賞するまでに至りました。 皆さんも、シャキシャキ感のある甘いでんすけすいかをこの夏は楽しんでみませんか?