江戸時代からの北海道を代表する名産品と言えば、何を思い浮かべるでしょうか?数の子や鮭といった海産物を思い浮かべる人も多いでしょう。昆布も昔からの北海道を代表する高級名産品です。 戸井漁協がある函館近郊、いわゆる「道南(どうなん)」と呼ばれる地区の沿岸は、真こんぶの名産地です。 真こんぶは清澄で上品な味わいの出しが取れるため、出し汁そのものの味を生かす料理に向いています。その味は、司馬遼太郎の長編小説「菜の花の沖」でも有名な蝦夷地松前藩の豪商・高田屋嘉兵衛らによって北前船で大坂(当時)に運ばれ、京都や大坂の高級料理として上方文化を発展させてきました。“道南の昆布が和食文化の礎を築いた”とも言えるほど、私たちの生活にはなくてはならない食材なのです。 それでは、どうして道南の昆布は、そこまで美味しいのでしょうか?それは、北海道の大自然が昆布を美味しくしているのです。津軽海峡の海流は流れが速いため、昆布自身も流れに負けないよう強く成長します。人間が厳しい環境にさらされたとき、強くなるのと同じように、昆布も強くなるのです。それが、真こんぶ独特の歯ごたえや美味しさを生み出しているのです。 さらに、道南の豊かな森林も昆布を美味しくしています。森林から多量の栄養素が川を通じて海に流れ込むため、昆布はその栄養素を吸収して大きく、美味しく育つのです。“木に縁りて、昆布を求む”のが、道南の昆布の秘訣なのです。 最近では、「促成真こんぶ」という養殖昆布も大人気。本来は2年間の生育期間を要する昆布をわずか1年間で育成させるのです。それでいて、天然昆布と変わらない歯ごたえや美味しさを保つ育成方法を戸井漁協の漁師たちは作り上げたのです。 |
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