農★blog - 2009/07のエントリ
話題の「低価格弁当」、近所の某スーパーでやっとその現場に出会いました。買い物を済ませレジに向かうと、「焼肉弁当、サケ弁当298円」などの広告表示が目に入り、さらにレジに近づくと、そこには重点陳列された弁当がいっぱい。「へぇ〜っ、お店としてここまで力を入れているのかぁ」というのが第一印象でした。
TVや新聞では「低価格弁当が今ブームに」「弁当の低価格競争が激化」などと取り上げられ、「こ〜んなに入って300円を切るんですよぉ〜っ」とレポーターの女子アナが興奮していたり、「少しでも安いのは助かるねえ」と喜ぶ消費者のコメントも多々紹介されています。298円弁当どころから250円で販売を始めたところも出てきているそうです。ただ、個人的には「本当に大丈夫なの…」と心配な部分も感じます。
例えば、このスーパーが4月から売り出した298円弁当、以前は498円で販売していたもの、とのこと。実に200円もの価格引き下げです。そのコストダウンはいったいどうやって実現したのものなのか…。作業の効率化、食材の一括調達や有効活用、などの企業努力によってもたらされた部分もあるのでしょう。でも、この厳しい景気の中で、これほどの低価格化は、それだけでは難しいようにも思えます。消費者の見えないようなところで、かなりの無理を重ねて低価格競争を進めているようなところはないのでしょうか。
もしそういう面が多少でもあるのだとすると、長い目で見たときに、本当に消費者にとって良いことなのか、国の産業を育て維持していく上でどうなのか、そんなことを考えたりします。低価格化が行き過ぎると、それはどこかで生産者や労働者、事業者などの負担増と深く結びついていく、そういうリスクを持っているように思います。そしてまた、「人がものをつくりだす」「人が働く」「人が手をかける」ことをきちんと評価しない方向に社会が進んでいくような傾向を感じるのです。農産物でも同じですよね。安心なもの、美味しいもの、良質なもの、を生産していくためには、当然それに応じたコストや手間、労力が投入されているわけです。それらがきちんと評価され、それにふさわしい価格で売買されていくような仕組みで経済が動いていく…。そのような社会のほうが、どんどん低価格化が進んでいく社会よりも、安心できるような気がしています。