農★blog - 日本人が好きなのは花、それとも…?
GWの連休、北海道ではお天気に恵まれて、行楽地はかなりの人出になったようです。温暖化の影響のためか、札幌近郊ではGWの連休と桜の時期が重なるようになってきていて、この時期は昼も夜もなく、花見を楽しむ人を見かけます。
手近な文献によると、日本における花見の起源は「奈良時代の貴族の行事」であり、初めは「梅」が鑑賞され、平安時代からはそれが「桜」に変わってきた、とされているようです。そうは言っても、きれいな花を眺めて楽しむ、というのは貴族でなくてもできるはずですから、もっと古くても不思議ではないのですが…。
さて、奈良時代から時を経た現代人は、「花見」は大好きでも「花」にはあまり関心がない、という人が多いようです。すぐ近くにキレイに咲き誇る花があるのに誰も見向きもせず、お酒、お料理、おしゃべり…。まあ、言葉では「花見」であっても実際は「宴会」ですからね。
そうした実態と関係あるのかないのか、切り花、鉢もの類、花壇苗など、いずれも消費量は減少傾向が続いているそうです。一時ブームになったガーデニングにしても、2008年版の「レジャー白書」の中で「園芸への参加率は01年37.4%をピークにして年々下降線をたどり、07年には27.6%。女性の参加率減少が顕著で、年齢別では50〜60代で参加率が80%以上を占め、若年層への浸透率は低い」と触れられていました。けっこうたいへんな状況が続いていることがわかります。そうした中で、花卉関係者も「20代、30代の若い層にどうアピールしていくか」「生活の中でもっと花に親しんでもらうためにはどうするか」という方向で、知恵を絞ってきているようです。
そのことに関係するヒントが、「花を売らない花売り娘の物語」という書籍で提起されていました。「人は花が欲しくて花を買いに来るわけではない」という提起から始まり、「花を贈る人は『花』そのものを贈るのではなく、『早く良くなってほしい』『ご盛会おめでとうございます』『コンサートお疲れ様でした』『あなたが好きです』という気持ち』を『花』に込めている。プレゼントではなく部屋に花を飾る人も『もっと部屋を明るくしよう』『花によって癒しを得よう』という『気持ち』や『想い』がある。その『想い』の具象化として、人は花を買う」という内容でした。
「気持ち」や「想い」を実現するものとしての花。そういう捉え方が社会の中でより広まっていけば、生活の中で花に親しむ場面は今よりも増えていくような気がします。そして、花が活躍すればするほど、そこに込められた「気持ち」や「想い」も社会にあふれていくことになる…。そんな大きな役割を「花」は担っているのかも知れません。