農★blog - 代役ではなく、いつかは主役の道を
「何か面白い番組はないか…?」とリモコンをパチパチやっていたら、ケーブルテレビで黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」を放映中でした。この映画、あまり話題になることはないのですが、私にとっては黒澤作品の中でのベスト3です。シベリアのウズリー地方を舞台にしたソ連との合作であることなどから、一般的には地味なイメージでとらえられているのかもしれませんが、映画好きなら見逃す手はない、そんな出来栄えだと思っています。それほどのお気に入りでしたから、もう何度となく見てはいたものの、やはり最後まで見入ってしまいました。
一方、どうにも苦手なのが「影武者」。ご存知のとおり、武田信玄とその影武者という一人二役を、当初は勝新太郎が演じていたのに、黒澤監督と衝突して降板し、仲代達矢が代役を務めた作品です。仲代さん、いい役者さんなんだけれど、やはり見ていて「この役は、ちょっと違うよね…」という違和感がずっとつきまとってしまいます。もちろん、突然の主役俳優降板という事情の中で、仲代さん自身も「自分が適役ではない」と承知しつつも代役を受けざるを得なかったのだとは思いますが。
先日、農水省が「新規需要としての米粉の原料米使用量は2008年度で約9500トン」という推計を発表していました。2007年度比較で約1.6倍になるそうです。その用途は、パン用が4割、めん類が1〜2割、菓子類・その他が4割、などとなっています。そういえば、近くのスーパーなどでも、「米粉」という表示を見ることも多くなってきたように感じます。
なるほど「米粉」の活用も順調に進み始めているのかなとも思ったのですが、報道などによると実はちょっと「訳あり」らしい…。要は、2008年度の小麦の値上がりが米粉の使用拡大の背景にあった、つまり米粉の伸びは小麦の代役としてのものであった、ということのようです。
言われてみれば、そうなのかも知れません。用途となっているパンやめん類なども、もとは小麦が中心でしたから、「その代わり」というのも実情なのでしょう。でも、ただの代役では終わらない米粉ならではの特徴だってあるはずです。たとえば、写真のようなシフォンケーキでも、小麦粉を使ったものとの大きな違いは「しっとり」「ふわふわ」した食感で、それはかなりの評判だそうです。また、パン類でも、小麦とは異なるちりした食感が受けて、女性を中心にファンが増えているとも言います。
それぞれに特徴あるいは適役があるのは当然だと思います。でも、いろいろな工夫が重ねられる中で、米粉の活躍の場は着実に広がりつつあるようです。せっかくのその動きがもっと活発になり、小麦粉の一時の「代役」としてではなく、米粉が「主役」として歩んでいく道が開けることを期待したいものです。